スピニングのドラッグを考える

FUJIYAMA

2006年03月13日 03:06

今日はまたディープな話題。スピニングリールのドラッグについて少し掘り下げてみます。

最近のスピニングリールのドラッグ性能は、数千円の普及機であっても昔のマシンに比べると恐ろしく高性能になったと思います。

なにせ滑り出しが大変スムース。止まっている状態から滑り出しに移行する落差が少ないって感じです。負荷に応じて「ヌメ〜〜〜」とラインが出てくれます。

一方、旧式な設計のリールとして私が好きなカーディナル33などでは、ドラッグ設定値を超えたら急激に滑り出しが始まり、突然「ジーーーっ」とラインが出ます。いわゆる「シャクリ」という動き方になる原因です。

私としては当然前者のじわじわとラインが出て行くのが正解だと思いますが、中にはあの「ヌメヌメ」感が気に入らず、カーディナル33のような「突然ジーーー」タイプが好きという人もいるようです。

なんで旧式な「突然ジーーー」タイプが好きかという理由として、大型のレインボーが掛かったときに一直線に数m走るファイトにはラインの出方としてこの方が適しているように感じていることがあるそうです。

ううむ、なんでそう思うのかなー?とふと考えてみたのですが・・

旧式リールのドラッグで、ラインが「ジーーー」と出ているときにはスプールが滑っていないときと比べてラインのテンションがかなり落ちてます。言うなれば、スプールの回転が止まっているときすなわち静止摩擦力と、ドラッグが滑ってスプールが回転しているときすなわち運動摩擦力の落差が激しいってことですね。

新しい高性能リールではラインの出始めをスムースにするために静止摩擦力と運動摩擦力の落差が少ないって感じです。

となると、旧式リールでは魚が走ってドラッグ設定値以上の引きになったとき、ある意味作為的にドラッグを緩めたのと同じ効果じゃなかろーか?

あー、なるほどそうしてみると旧式が良いと感じる理由も理解できますね。

そういえばシマノのファイティングドラッグというのはドラッグ設定値を2段階にプリセットできるような仕組みだったと思います。

もしかしたら旧式リールは生まれつきこれに近い作用をしちゃっている可能性がありますな。なにせ、魚が走るとラインのテンション下がってくれますから。

私自身は30年以上前の設計であるカーディナル33の旧式なドラッグの使用感はまあまあ好きな方ですね。これを使いながら、「やっぱ古いリールのドラッグですな」と単純に思っていたのですが、隠された面白さがそこにあるのかも知れません。

や、でもね、標準的にはスムースな滑り出しのドラッグの方が良いでしょう。特に張りの強いカーボンロッドにはね。

張りの強めなロッドに旧式の「突然ジーーーっ」タイプのドラッグだとけっこう辛いものがありげ。だから私はグラスロッドなんだけど。


シマノ 05’バイオマスター 1000S AR−B


これは低価格にしてすでに十分すぎるほどのドラッグ性能があるリールだと思う。しかし、このリールの価格を見ると、シマノさん赤字にならないですか!と思ってしまうほどのお買い得品ではなかろうか?




アブガルシア カーディナル 33【復刻版】


こちらが私が大好きな旧式リール。上のバイオマスターよりも高いですが、絶対的な性能ではまったく劣ります。が30年の歳月を経ても残っているのはコチラのリールなのです。

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